半出生主義の拡散

半出生主義ってそこそこ流行ってるみたいなのかな?

私は世間との関わりが薄いので、実際にどれくらいの人が共感できるかはわかりませんが、一定数の人が評価しているのでしょう。

この考え方については色々語ることがあって、リアルで哲学的な話をできる友人に対しては数時間話し続けることも可能なのですが、とりあえずはその知名度のなさについて言及しようと思います。

 

なぜ反出生主義は広がらないのか

私個人の考えで言えば、反出生主義は論理的な議論をする上で最強の考えなんですよ。

これを論破するには"人間は誰であろうと苦しまずに生きていける"という無茶な前提が必要になるので。もしくはぶっ飛んだスピリチュアルな論理ですかね。そんなものでははじめから議論が成り立たないので、結局理性の面から論破することは今の所不可能だと思っています。

そんな最強の考えなんだからもっと広まってもいいだろ、と私は思いますし、この考えに傾倒するような人であれば誰もが一度は思ったことがあるものでしょう。(偏見)

私は、自然淘汰、そしてペシミズムの考え方が大きく関わっていると思います。

 

まずは自然淘汰の方です。こちらの方は非常にわかりやすい考えで、反出生主義的な考えを持つ人はそもそも子孫を残さないので、そちらに傾倒する人特有の遺伝子が存在した場合、その遺伝子の所持率は世代が進むにつれ減っていくことがわかります。また、宗教等に見られるように、親から子への思想の影響は大きく、それがないぶん継承されにくいものとなってしまうのではないのでしょうか。

 

続いてペシミストの考えによる影響です。ペシミズムは人生は虚無で辛いものであるという考えで、シオラン等の著作を読む限りでは反出生主義のベースのようなものであります。ここでの問題は、ペシミストは人生に意味はないと考えていることです。多くの宗教では、教えを守ったり広めたりすることに人生の意味を見出すように説いているがために布教活動が盛んになっているのですが、人生に意味がないという教えを信じる人間が本気で考えを広めることがあるとは思えません。もし熱心に他人に考えを広めていたら、それは真のペシミストではないのではないでしょうか。また、これは偏見ではありますが、純粋な反出生主義者の多くは、他人を傷つけないことを非常に重んじています。その中には、他人に偏見を押し付けないことも含めているのです。反出生主義者は、自分の考えを提案することは出来てもそれを押し付けることは出来ないのです。その点で、この思想は他の思想と比べて生存能力が低いのかな、と思ってしまいます。

 

最近、Twitter等を見ていると、似非反出生主義者が増えていると感じています。そのような人々は、まだ強い自己顕示欲を持っていて、自分の思想を広めることに熱心です。上に述べた内容からすると、時間が経てば偽物が反出生主義だと広まってしまうのも十分ありえて、そうなってしまうのは私としては少し悲しく感じます。今後反出生主義に少しでも興味を持った方がいるならば、とりあえず本を読んでみて思想を理解することが本来の反出生主義の拡散に役立つのではないのでしょうか。